令和6年度 紫陽花句会が行われました

 本日、令和6年度の紫陽花句会が行われました。島実の歴史ある俳句会、今年も一日かけてたっぷりと「ことのは」に向き合いました。

 今年のテーマは「言葉のひかり」。全体会では、人の心をあたため、人の心を動かし、物事の見方を増やし、世界の見え方を変化させたりする言の葉の力について具体的に紹介しながら、今だからこそ「思いやりの文学」と呼ばれる俳句が、心を豊かにし他者とのつながりを育み自らと手をつなぐために必要であることを説明していきました。また昨年度の表彰作品と選評を紹介しながら島実生の持つ感性の豊かさと奥深い俳句の世界を味わい、じっくりそれぞれの言の葉と向き合うことができました。またまとめではフィギュアスケーターの羽生結弦さんのインタビューから言葉で自分の心を育てること、どんな想いを持って言葉を発するのか葛藤しながらも言葉のひかりを届ける様子が伝えられました。藤平先生からは「きっとひとつひとつの言の葉から受けるひかりは無限にひろがっていくのだろうと思います。あなたのひかりを宿した生きた言葉を紡いでください。」とあたたかなメッセージが届けられ、角田先生からは島実生の心が豊かであるからこそ多くの人々の心に響く言葉が生まれてくるということ、そして教養を学ぶ喜びや知ることで言葉は記号にも生きた言葉にもなることが伝えられ、言葉や文学を学ぶ意義を再確認することができました。

 その後の創作の様子からも、言葉はひとりでに育つものではなく、教養や知識、経験が栄養となり、周囲からもたらされる言葉をきっかけにして枝葉を伸ばすように成長していくものなのだと実感しました。辞書や言葉の本でたくさん調べて言葉を選んだり、表現の仕方にこだわったり、仲間から刺激を受けて切磋琢磨しながら作句していたり、静かに向き合いながらも良いものを作りたいという情熱をひしひしと感じました。生徒たちの事後アンケートからも、今までは苦手だったけど説明を聞いて楽しく作句できた、これまで気づかなかった自然の様子や自分自身の想いを知ることができた、言葉を紡ぐ楽しさや難しさを体験できた、様々な言葉との出会いがあり使い方次第で表現が変化する面白さがあった、自分自身の成長を感じることができた、など充実した時間だったことが伝わってきました。職員も声をかけながらまわっていきましたが、込められた想いやこだわりの表現に感心したとともに、新たな一面に出会うこともでき、私たちも心豊かな時間を過ごすことができました。

 6月中に選考を重ね、7月には表彰作品が発表されます。生徒たちの多様な個性が反映された彩り豊かな作品の数々が、大切な人に、場をともにする人たちに、見えないつながりの向こうに、憧れた先に、そしていつかの私に、どんなひかりを帯びて届けられるのか楽しみにしつつ、どんな姿勢でどんな意志を持って言葉を届けていくのか、日本語の歴史と文化を担う一人として生徒たちとともにこれからも大事に向き合っていきたいと思います。





























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